ゴミ拾い
映画を観ない。
邦画も洋画も知らないものが多い。
ハリーポッターの魔法の世界ですら、足を踏み入れたことがない。
「天空の城ラピュタ」を初めて観たのは、つい何ヶ月か前の話だ。
意外だ、と言われることがある。
自分で繊細だとは思う。
音楽だとか、本だとか、作品の心に触れることが好きだ。
それでも、「映画」には触れてこなかった。
理由としては、非常にシンプルなものだ。
そもそもこれまで映画に触れる機会が無かった。
私の周りに映画は転がっていなかった。
転がっていても、拾ってこなかった人生。
今、私は自由の裏路地にいる。
何かと引き換えに、色々なモノを手に入れられる。
映画だけじゃない。
もっと、もっと、拾えなかった大切なものがたくさんあるはず。
裏路地の水溜りは、青空を写す。
拾えなかったものを拾いに。
その手はまだ何も持ってないよ。