隙間のホコリ

リリシズム、エモーショナリズム、ネガティブ。

夜彼方

戻りたい夜がたくさんある。

 

夜の匂いが好きで、どの想い出にも匂いが残っていて、時々その匂いが鼻から身体を駆け巡り、思い出させてくれる。

 

とても大切で、尊くて、でも、どうやっても戻れない。

 

 

近所の夏祭りの帰り道、透明なプラスチックの剣を片手に、空いている方の手首には夜道を仄かに照らす蛍光ブレスレット。

 

汗とシーブリーズが混じった若さほとばしる部活終わりに、後輩の家の前で終わりの見えない他愛も無い話を続けた夏の暗闇。

 

受験勉強の息抜きで、家に辿り着く駅とは真反対の方向に歩き、友人と何も無い公園で白い息を吐きながら、遠い未来を語り合った夜。

 

薄暗い電灯が照らす中、ひたすらに舞い続けて、疲れからコンクリートの上で仰向けになって、見上げた真夜中の空。

 

 

こうやって言葉に起こしていく中で、まだまだ懐かしくて、戻りたくて、大切な夜があることを思い出す。

 

 

あぁ、どうぶつの森の深夜2時のBGMが聴こえてくるな。