仮詩
網膜を埋める銀色のビル。
いつの間にかのかすり傷。
渡された知らない土地の地図。
声にならない叫びは、硬い殻が弾く。
冷めた目をした青年は、何も無い公園で
分身と向き合う。
この影はどこまで私を伸ばしているのだろう。
過去は戻らず、
未来に追い風を吹かす。
しかし、それは時に届かず、
細やかな船出を脅かす。
夕陽、眩しさに言葉を投げる。
行く宛の無い感情を混ぜる。
鉛の様に重い足。
擦り切れた靴。
それは紛れも無く歩いてきた証拠だ。
草臥れた声が耳元で囁く。
「この世界はどうしようもない」
だけど、その呼吸は続けていくのでしょう。
どうせ、止める勇気もないのでしょう。
閉じ込められたノスタルジックを、
滲み出るエモーショナリズムを、
ポジティブに勝るネガティブを、
芯を貫くポエトリーに。
今、放つ。